フィニアルとは何か

タッセルに用いるフィニアルは、房に束ねた集束点の保護を担うほか、フィニアル自体が重量を持つためタペストリーやカテーン、室内調度品等にタッセルを吊ったり掛けたりする「引き手(重し)」の役割を持っています。パスマントリーの様式美を映し、西洋の室内装飾に呼応するように、タッセルの装飾性として頂華を模した意匠は重要なエレメントです。

Tassel-Finial

フィニアル(finial):「頂華飾り」の総称

フィニアルの歴史は10世紀から12世紀にかけて広まったロマネスク様式や、その後のゴシック様式の聖堂建築の尖頭の影響を受け、教会建築のキューポラや展望台の頂点を保護するために用いた装飾を始まりとしています。椅子やランプシェードの先端軸に使う装飾部分やカーテンポールの両端のカーテンの滑り止め、建造物のための頂華飾りなどを指すもので、タッセルに用いられるフィニアルもまた同意の頂華飾りを反映したものです。

フラスコ型のフィニアル(ヴェルサイユ宮殿のカーテンタッセル(レプリカ)/撮影:Tassel N 2013年

タッセルで用いられるフィニアル

フィニアルを用いたタッセルの多くは、西洋型の房飾りに見られる華やかなスタイルが特徴です。大型のカーテンを留めつけるタッセル・タイバックや、小型のものではキー・タッセルに用いられています。フィニアルには木製の芯材(ウッド・フォーム)が用いられ、芯材の周囲を糸や紐で覆いながら装飾するのが一般的です。このフィニアルの芯材にする型を“フォーム”といい、タッセルのシルエットをつくる様々な型が用いられています。先の尖った鏃の形や、胴が丸く膨らんだナツメの形、壷のような流線の形、裾が広がった吊り鐘の形など、タッセルを一体に装飾する様式美として現れています。芯材には古くから木製のウッドフォームや、稀に鉄製のアイアンフォームが用いられますが、近年では樹脂製のプラスチックフォームが使われています。フォームは5cm〜10cmの高さですが、15cm以上の大型のものまであり、芯の中心には縦に中通しの穴が抜かれており、結節をつくった掛け紐などを通して留め付けるのです。フォーム自体を糸や紐でカバーリングした上で、フリンジやラフ、スカート等をフォームに飾り付けるのが特徴です。