伝統的な装飾布「トワルパント」

カルトナージュで使う伝統的な布は、フランスで「トワルパント」と呼ぶ、木版で絵柄を捺染した綿布です。17世紀中頃のヨーロッパで、インド木綿に文様染めした“更紗”と呼ばれる平布をはじまりとしたのが『トワル・ド・ジュイ(ジュイ地方のトワルパント)』です。後にフランスの布とも称されるトワル・ド・ジュイは、オフホワイトの素朴な生地に、単色の藍染めで、神話や田園風景を絵画的に描写した絵柄が、引き立つ特徴があります。カルトナージュでトワル・ド・ジュイを用いると、アンティークで威厳のある伝統的なフランス式のスタイルを創りだします。トワルは、フランス伝統の時代精神を象徴する布なのです。
フランス式のカルトナージュなら、トワル・ド・ジュイを用いたいところですが、フランスメイドのトワル・ド・ジュイを手に入れることが難しくなっています。今日のカルトナージュには、様々なテキスタイルのプリントクロスを用いるようになりました。市場でトワル・ド・ジュイと称するトワルパントには、アメリカメイドやジャパンメイドによるレプリカやライセンスプリントがあります。本物のトワル・ド・ジュイを用いることは価値ある稀少な製作になるでしょう。