カルトンの反り対処法
カルトナージュづくりで考慮すべき問題が厚紙の反りです。もともと硬くて丈夫な厚紙を用いるため、それほど頻繁に反るというものではありませんが、厚紙の知識として反りへの対処法を述べておきます。
カルトンの「反り」とは
反りとは環境湿度の変化に応じて紙が伸縮し湾曲した状態をいいます。厚紙は、できるだけ平らに製造されていますが、少しだけ自然に反った状態にあります。自然な反りは、環境湿度によって紙の繊維が伸縮することで生じたものです。厚紙の伸縮性は、流れ目に対し垂直方向に伸びる性質を持っています。その結果、表面よりも繊維密度の荒い裏面が伸縮の影響を大きく受けることから、表面と裏面の均衡バランスが変化し湾曲します。厚紙の保管が悪く水分を多く含んだ場合には、極端な反りが起きます。
どういったときに反るのか
カルトナージュで問題とするのは自然な反りよりも製作によって生じる反りです。主に接着剤の塗り過ぎやクロスの引っ張り過ぎが原因です。また、大きな箱づくりに薄い台紙を使った場合や、広い面積もつ形は反りの影響を受けます。例として平面積の多いヒンジカバーボックスの蓋やブック型バインダー等は反りが生じやすい形です。また、薄い厚紙を台紙にした蓋にキルト芯を入れて膨らませると、布地に引っ張られて蓋の天面が反ってしまうことだってあります。自然現象としての反りは避けられませんが、製作によって生じる反りは防ぐことができます。
ヒンジカバーボックスの蓋は反りやすい構造になっています。画像中の白線は紙目を示しています。カルトンの表面を上にして紙目をとることがポイントです。表裏や紙目を逆にすると蓋が上方向に反り上がってしまうからです。
基本的な反り対策のポイント
対処法1 | 接着剤を薄める際に水を混ぜすぎないこと |
対処法2 | カルトンに接着剤をつけ過ぎないこと |
対処法3 | 水貼りテープで補強する際に強く引っ張って貼らないこと |
対処法4 | 化粧貼りで布地を強く引っ張って包まないこと |