カルトナージュ曲線と心点図法

カルトナージュで自由に曲線を描くことができれば、創作表現はぐんと広がります。コンパス製図といえるカルトナージュの製図法の中でも、曲線を描く図法が心点図法です。

曲線製図の基本

曲線は、自在曲線定規や雲形定規、カーブ定規などを用いると綺麗に引くことができるのですが、自由自在なだけに任意の曲線になります。一作品ごとのカルトナージュなら、自由に描いた曲線であってもよいのですが、一定した曲線を描く場合には、型に合わせた型取りや型紙を作成するなどしなければなりません。

心点図法

カルトナージュ製図で描く曲線分は、コンパスを用いて描くことが基本です。普通はコンパスで定円弧しか描けないと思うかもしれませんが、円弧を細かく繋いでいくことで緩やかな曲線にしていく方法が心点図法です。
“心点図法”は、コンパスで心点と弧線を規則的に組み合わせて放物曲線を描く図示法ですから、カルトナージュの形だけではなく、額装に用いるフレーム曲線を描く際にも有効な図示法なんです。

実はオーバルという楕円形を用いたカルトナージュのスタイルは、心点図法というのが根幹にあります。

1心点と2心点による図案
単一の心点による円形を基礎にして、単一の心点による半円形を二つ組み合わせたものが二等方円楕円形です。(小判型オーバル)ただ二つの円弧を直線で結んだだけのシンボル的なオーバルの形ですね。

3心点による図案
『花形の製図学』(2016年)で、3心点による“露草形”と“菱木瓜形”を発表しましたが、3心点は円弧の組み合わせだけで図案になることが多く、弧線だけで楕円に閉じることはできません。

4心点による図案
角丸四角形は楕円形ではありませんが、4つの角を4心点で形成するため、円弧を4分割すると心点が四つ重なっているのと同じ理屈になります。つまり楕円形は心点の間隔を対向させて、長さの違う弧線を繋いで閉じた形になるため、二等円楕円形をはじめとする擬似楕円は原則として4心点が基本になります。

コンパスで曲線を描くオーバルは、心点数を多く持つほど滑らかな曲線になっていきます。心点図法は放物曲線を描くために、弧線に応じて心点を定めていくもので、弧線を滑らかにしようとすれば、それだけ繋ぎ合せる心点の数が必要になります。『オーバルの製図学』では、8心点、12心点、14心点を用いて図案を作成しています。