カルトナージュの接着剤

カルトナージュの接着剤

カルトナージュで厚紙や布地を貼るときに使う接着剤は、何を使ったらよいのでしょうか。いつでも使える糊、手早く使える糊、失敗しない糊などなど・・接着剤は、カルトナージュの基礎から扱う材料でもあり、作業性や仕上げに影響を及ぼすものですから、自分なりのカルトナージュの接着剤を考える時期がありました。
これまで、私自身も接着剤について深く関心を寄せた時期があり、制作の場面で役立つカルトナージュの糊に関する事柄をまとめておくことにしました。

カルトナージュの接着適合スキル

カルトナージュ作家は接着剤への関心が高く、接着剤の使用によって生じるいくつかのトラブルに留意しながら使用しています。接着剤の水分過多によって台紙が反る問題。接着不良によって乾燥後に布地が浮く問題。接着乾燥後に布地の表面に糊シミが残る問題等、カルトナージュ技術の一つには、使用する接着剤の特性を把握したカルトナージュの接着適合スキルを養っておくことも大事です。

カルトナージュ接着剤の選定

カルトナージュで使う接着剤の通説は、市販の水溶性の木工用ボンド(商標/コニシボンド)に、児童教材のでんぷん糊と少量の水を加えた合わせ糊にして使うのです。
一方で、カルトナージュを本格的に追求すれば、カルトナージュをはじめアンカードルモン(encadrement:フランス額装)、ルリュール (reliure:フランス手製本)用途で使えるフランス製の糊が輸入販売されています。水で薄めなくても伸びが良く、粘度、仕上がり、伸び等のバランスがよく、そのまま使える接着剤になっています。また、工業用の接着剤に類しますが、紙器用に改善したコンパウンド・グルーと呼ばれる接着剤も、カルトナージュ用の接着剤として使われています。

3種類のカルトナージュ接着剤

カルトナージュの接着剤は、主成分の違いから3つに分けることができます。1つ目は「酢酸ビニル樹脂エマルジョン」、2つ目は「エチレン変成酢酸ビニル樹脂エマルジョン」、3つ目が「アクリル樹脂エマルジョン」です。共に水溶系の合成樹脂を成分とした接着剤です。

1つ目の酢酸ビニル樹脂エマルジョンは、慣習的に使われる「でんぷん糊」(スターチ)と水を混ぜた合わせ糊として用いる主剤です。
2つ目のエチレン変成酢酸ビニル樹脂エマルジョンは、1に比べて糊の伸びは劣りますが初期接着性が高いことが特徴です。通称:EVA(エチレンビニルアセテート)系と呼び、市販でも手に入れやすくなったことから、現在(2025)のカルトナージュ接着剤の主流だろうと思います。
3つ目のアクリル樹脂エマルジョンは少し特異な使い方をします。原則、布地ではなくポリエチレン不織布やビニール樹脂を貼る際に使用すると効果的です。以前にビニールコーティングされた布地で作品を作った際、ビニールとビニールが重なる糊代に使用しました。アクリル樹脂は、乾燥後の糊シミがでやすく、独特の接着臭が残るため対処法を知って使います。

接着剤の選び方については、自分の作品づくりにおいて、使い勝手やコストに見合ったものであればよいと思っています。布地の種類や制作用途の状況に応じて数種類の接着剤を使い分けることがあり、カルトナージュ教室だと、汎用性の高い接着剤として一定量必要になるはずです。
カルトナージュで接着剤を使う場面は、カルトンを成形する接着と布地の貼函です。布や紙を貼るには素材特性に応じて最適な糊が必要になります。接着剤を選定する上で留意すべき事柄です。

カルトナージュ接着剤

・紙と布の両方で使えること
・水溶性で使いやすいこと
・糊の伸びがよいこと
・ネタもちに優れること
・初期接着が高いこと
・布地が柔らかく仕上がること
・接着臭が低いこと
・作業性がよいこと
・安全性の高い接着剤であること
・安価ですぐ手に入れられること