タッセルの頂部を「締固め」するタンピング

ソフトタッセルの形は、頂部(ヘッド)と房部(スカート)の、二つの部分から成るフォルムが通常です。フォルムは綛糸に使う糸の太さや長さに基づいて、量感を調整しながら形を整えるため、ヘッドやスカート丈の短・長の調整はできますが、ヘッドやスカートの幅を広げたり膨らませるには、まとまった糸にボリュームを与える形成方法を用いなければなりません。ワンピース型タッセルのフォルムづくりに役立つ「タンピング」という技術について述べてみたいと思います。

タッセルの抑揚

ワンピース型タッセルは糸を一体に束ねてつくるため、シルエットの変化に乏しいことが短所です。一定量の糸でフォルムを組立てることで、先頭部と房部が一本調子に構成された「てるてる坊主」のようなタッセルになるわけです。本来ソフトタッセルの形態は、主たる組み紐や縁飾りに伴う「付け房」の役割を果たすもので、過度な抑揚を押さえた形というのが根底にあるのだろうと思いますが、今日のタッセルにはタッセルそのものに対する直接的な感じ方もあり、ソフトタッセルを単一の装飾品として取り出すための考え方があると思います。ワンピース型であってもフォルムの起伏が富み、シルエットがメリハリを持って、形態づくりができることが望まれるところです。

一般的なタッセルの頂部(バインディングヘッド型)
タンピングで形成したタッセルの頂部(タンピングヘッド型)

タンピングとは何か(tamping)

タンピングには「締固め」(しめがため)という意味があり、詰めて圧縮したり突いて固めることを指します。タッセルづくりで用いると、先頭部分を元にして詰めた糸が押し縮んで膨らんだ状態になることを指します。手芸の手法においては、タッセルの先頭部を“ふわっ”と膨らませて簡易なボリューム付けをする単一的な「潰し方」もありますが、タンピングはコードの結節を支点にして束ねた糸を、直線的にスライドさせながら押し下げて「詰める技術」をいいます。タンピングには、ソフトタッセルの部位に応じた特別な手段と表現ができるようになるからです。タンピングによって形成された先頭部は、糸が解けないようしっかり詰まって安定した状態であり、先頭部だけではなくソフトタッセルの首元部(ネック)や、胴部(ボディ)の形成まで利用することができる技術です。

タンピングさせる前のヘッド
タンピングさせた後のヘッド