TASSEL WORKS-02

タッセルを作るだけでは形にならないのもタッセルです。和洋を問わず房飾りの伝統的な意味を知って、現代の暮らしの中で装飾品として嗜む実感を追求しています。

飾り房の手法の広がり

タッセルには美しくみえる姿というものがあります。それを編みだしていく作り方に房飾りの神聖さがあるように思います。タッセルの取り扱いは“小さなタッセル”の可能性を試みるもので、『uroco-鱗」作品はネッティングという網形(あみがた)細工により、頂部から房部まで覆う筒状の「カバーリング」や、『つばき]作品は四つ編みのフラットカットフリンジを「前飾り」に誂えた手法を試みました。

ソフトタッセルには古典的な三つの汎用的な形態がありますが、存在感を拡張する形態へと独自に新しくタッセルの手法を思案したものが『タンピング/タートル/タークス』作品です。タッセルを単体で取り出したときの意匠性を高めることができると考えています。

一般的な円球状のポンポンは統一感はあっても変化をつけにくいのですが、『Coupe』作品は半球状にすることで、形と配色を関連づける「カラータイイング」で、現代的な配色美を目指したものです。西洋の古典的な「ローブ・ア・ラ・ポロネーズ」をイメージした『きもち』作品は、小さく感じないふっくらとしたドレスのように膨らんだスカートシルエットであっても、古典的な和の拡張に力点を置いたものです。また、タッセルづかいの装身具としてタッセル・ピアスにも展開しました。本来大ぶりなフィニアル型を、ピアススケールにした『Sera』作品は、ピアス用のマイクロフィニアルを独自に作成しています。