孤で表現するスカラップ

スカラップ(scallop)は帆立貝の波形に模した装飾的な縁取りです。日常的にファッションやインテリアの用語として用いられており、カーテンやスカートの裾(ヘム/hem)などに使われる、波うった装飾です。

スカラップ

カルトナージュのディテール(細部)として用いられている装飾縁「スカラップ」。2012年春のフラワー柄と相まって流行するスカラップ。最近お店で目をひいたフラワー柄のハンカチの縁取りもスカラップでした。アンブレラやランプシェードの縁取り等にも見られます。そもそもスカラップは、主に建築の装飾様式として有名であり、イスラム文化の流れをくんだ門壁の開口形状であったり、壁面の隙間をうめるニッチ装飾等の様式美として用いられてきました。その名の起源とされる帆立貝の波形を模したのは、ロココ様式の影響によるものといわれ、レース装飾(スカラップレース)や刺繍にまで用いられており、その帆立貝の波形にカットされた弧の美しさは女性を象徴するとさえいわれます。

カルトナージュを縁取るディテール

スカラップは取り上げて新しいディテールではありませんが、装飾として意識すると使いたくなります。従来からカルトナージュで用いられていたディテールですが、形の基本は箱の口辺を円弧で切り整える形で基本とする半円状の形を組み合わせた「連続性」が特徴です。

口縁をスカラップにした八角カップ
上面ではスカラップが円弧につながって見える設計

例)オーバル・パン形

16の口縁をスカラップで縁取ったオーバル・パン