複合曲線を用いたカルトナージュ

複合曲線は複数の円弧の心点で描いた円弧を一つに繋いだ曲線です。心点の距離が異なる円弧と円弧をつなげることで、滑らかに偏平した曲線を作図する方法について述べてみたいと思います。

複合曲線の描き方

オーバル形をはじめとした楕円形状を描く際に用いるのが複合曲線です。複合曲線は複数曲線で一つの弧線にしたものです。弧線ひとつごとに心点を持ち、心点の位置や距離を違えてつなぎ合わせる作図をします。例えば、花形には形ごとに特徴を表す曲線があるため、ディテールの成形に複合曲線用います。また、オーバル形の中でもオパルス形は弧成の連続性を増す滑らかな形になっており、全体の楕円曲線を保つことで見る角度を選ばない曲線の美しさを表すために8心点の楕円になっています。

菫形
花鍔形
オパルス形

複合曲線と単曲線の違い

複合曲線と単曲線で描いたハート形を比較すると、見た目が持つ柔らかさが違います。単曲線によるハート形は一般的な形でしょうが、複合曲線を用いたハート形の図法には、二つの円弧から頂角に結びつくまでの辺に、別の心点を持つ円弧をつないだことでゆるやかな弧線を表現しています。頂角に少しの直線を用いていますが殆ど気になりません。

複合曲線を用いたハート形(心形)
単曲線によるハート形(黄金比ハート形)

卵形の複合曲線図法

卵形の図法はニ心円楕円図法と呼ばれ、単心の正円を基礎にして複合曲線で作図するものです。一般的には初級者でもわかりやすい簡略図法として、元になる単心円の対角を結んで複合曲線を描く図法を示しました。製図を始めて間もない時期に、コンパスによる曲線と曲線を緩和させていく練習として用いる手順です。