タッセル&カルトナージュ
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初版公開:2010.8.25
第二版公開:2012.1.11

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E-BOOK「タッセル学1」
〜房飾りの歴史〜
Tassel N 著

タッセル史を知る研究論文。タッセルとは何かということを探求すれば、タッセルの歴史から奥深いタッセルの意味を知る事が出来る一冊。





タッセルの用い方

 タッセルは、時代性や日常を彩る装飾性が魅力です。タッセル好きなら、それを手にしたときの共感や美しさ、さらには、作る楽しさや設える喜び、というものを感じとるでしょう。そのタッセルから伝わる、心の満足感という、極めて哲学的なものを持ちながら、シンプルな機能をもっているのがタッセルです。そういったタッセルの装飾性について、現実的な感性を掴む上で大切なポイントをまとめています。

【embellish of tassel】タッセルの装飾性


 2011年頃より、タッセルは手芸としての魅力を集め始めました。これまでタッセルは、インテリアデザイン分野の中の調度品的な扱い方がされ、特にカーテンを束ねるための房飾りとして一般には広く認知されていました。近年は、目立ってファッションの分野における服飾の付属品やアクセサリーに使われるようになってきたことで、タッセルは、より身近なものと結びつくようになりました。また、作ることに知識と技術がいるタッセルは、愛好できるレベルで手芸用のタッセルが参照されるようにもなってきています。
 タッセルには、二つの性質である「embellishment=装飾」と「ornament=モチーフ」という意味があり、単なる言葉の用い方ではない二面性を持っています。「embellishments=装飾」で用いるタッセルは、調度品もしくは付属品のディテールになるものです。付属する対象物の意味や象徴が強調された形態を有するのが特徴ですから、タッセルはどちらかというと引き立て役といったところでしょう。一方で「ornament=モチーフ」で用いるタッセルには、その意匠に独自な形態性を持ち、象徴的な形、 優雅さ、美しさ等から装飾品としての明確なプロフィルを持っていることを意味します。これらは、どちらが優れているのかということではありません。この二面性によって、多様な現代生活の中であっても、認識できないように一貫性を保っている部分ではないかと捉えています。タッセル&カルトナージュの創作タッセルでは、カルトナージュと組み合わせているものが「embellishment=装飾」タッセル、クリスマスタッセルような個別性の高いものを「ornament=モチーフ」タッセルとして位置づけをしています。
 タッセルは単体の実用よりも、何かと組み合わせて使ったり、何かを装飾するほうが現実的だと思いますが、タッセルが装飾品としての意味や象徴を持ち、時代の文化を映す意匠の優雅さをとらえたときには、その魅力がよりいっそう高まる必然的な美を実感する瞬間があります。タッセルが様々な装飾品に共さるとき、それぞれタッセルの本質的な意味が象徴として現れる重要な機会になるのです。しかし、その一方では、装飾品に応じてタッセルの装飾性が限られてくることを示すことにもなります。

 タッセルの装飾性には、次のような装飾の範囲におけるタッセルの態様がみられます。

1
【 Classical 】文化・風習を受け継いだ古典・伝統的なタッセル
2
【 Embellishment 】家具調度品に備え付けられた装飾備品となったタッセル
3
【 Accessories 】装身具や装飾付属品となって付加価値を高めるためのタッセル
4
【 Ornament 】礼拝品の意味が強調されるオーナメントになったタッセル



 【 Classical 】文化・風習を受け継いだ古典・伝統的なタッセル


 古典・伝統的なタッセルの装飾性は、古来より人間生活の営みからうまれた自然創造物としての装飾品でした。古代民族衣装の衣装装飾や身分装飾等、背後に文化・風習を受け継いだ人間生活様式があり、民族文化や時代芸術、地域生活態様と結びついた装飾性を原点にするものです。衣類、織物、編物、敷物等、暮らしから生まれたものは、西欧に限らず中央アジアの遊牧民族が、移動生活をするためのラクダや馬の装飾、民族衣装やテント住居に用いられており、伝統的な織物や編物によるフリンジ装飾を自然に生み出しています。近代においては、軍服の飾緒やエポーレット (肩飾り)に付けられた垂れ飾りや、アカデミック・キャップ(大学生の黒い角帽)の中央からタッセルを垂らす等、今も受け継がれている伝統的なスタイルがあります。

【 Classical 】タッセル
民族衣装 風俗衣装 住居 芸能 軍服
祭服 懸装 祭祀 祈祷 呪術


 【 Embellishment 】家具調度品に備え付けられた装飾備品となったタッセル


 16世紀から18世紀にかけて室内装飾として発展してきた中で、西洋型のラグジュアリーな日常装飾として用いられてきたタッセルです。現代においても、タッセルそのものを飾り付けるという意味として生活の優雅さを象徴するアクセントにもなっています。こういったタッセルは、家具、寝具、寝室における調度品と一体(調度品のパーツ)になった装飾性があります。戸口の装飾、ベッド飾り、枕飾り、ランプシェード、敷物、肘掛け椅子等、貴族階級のための極めて優雅で富の象徴とされる調度品のための装飾から始まっているのです。この装飾の起源は、"惜しみなく飾る"ことで、さらに豪奢な暮らしへと変化させるという18世紀の歴史的背景を強く受け継いでいるもので、[furnish=設える:しつらえる]という言葉には、室内や調度品などを飾り付けることから、家具を備えたり、豪華な住空間として設備したりすることを原点にして「住まいの中で飾り付ける」というタッセルの装飾の歴史背景を絶妙に言い表しています。こういったタッセルを、装飾パーツと片付けるには語弊がありますが、タッセルの装飾性は華美、贅沢といった豊かさを引き寄せるというプラス意味の装飾になっているわけです。

【 Embellishment 】タッセル
カーテンタイバック カーテンバランス アームチェアー ソファークッション ランプシェード
ピロウリム タペストリー テーブルランナー ドロワーロゼット ドア掛け
パラソル ワインカバー ナプキンリング ジュエリーボックス ソファー
テーブルクロス オットマン ウォール シーリング


 【 Accessories 】装身具や装飾付属品となって付加価値を高めるためのタッセル


 アクセサリーになるタッセルは、アクセサリーのデザイン性を高めるために付加したタッセルです。タッセルそのものをアクセサリー使いするのが特徴です。ネックレス、ペンダント、ブローチ、イアリング等の引き立て飾りとなって、アクセサリーの付加価値を高める働きを持ったものといえます。
 アクセサリーそのものが装飾ですから、言い換えれば直接タッセルをアクセサリーとして身につける美を意味することにもなります。これは室内装飾からファッションに移った近代の流れを示すもので、室内をタッセルで飾ることが豊かさの象徴なら、アクセサリー化は、タッセルの象徴性を取り出すことで、より個の魅力が演出されることなるでしょう。タッセルの魅力と組み合わせることで新しいスタイルを生み出そうとすることに繋がるのですが、貴金属が中心のアクセサリーとは違い、ソフトな素材を用いることができる素材性も特色の一つになるでしょう。ブレスレット、ネックレス、イアリングのような貴金属やジュエリーに限定されてくるのですが、実用性からするとファッション雑貨の付属品として用いられる場合が主流です。
 人が身につける装身具化したタッセルは、襟元、袖元、足下へのタッセル使いや、靴、衣服、帽子、ハンドバック、ウォレット等の流行アイテムにタッセルが持つボリュームを組み込むことで、ビンテージな魅力の装飾手法になっています。また、クッションに縁を付ける、アンティークなキーにタッセルを付ける、置き提灯や扇子に房飾りを付ける等、風習に装飾性を取り入れることで新しいスタイルを付加することにもつながります。現代では、ワンピースの袖しぼり、ロングブーツの装飾、ハンドバックのアクセサリーパーツ、コサージュやブーケ、シュシュ等、特別な機会や日常のお気に入りのものにまで多様に広がりました。

【 Accessories 】タッセル
ハンドバッグ ポーチ ウォレット チュニクル 帽子
マフラー ブーツ シューズ ブーケ ブローチ
シュシュ コサージュ ストラップ ブックバンド ブックマーカー
ネックレス ペンダント イアリング キー チャーム



 【 Ornament 】礼拝品の意味が強調されるオーナメントになったタッセル


 礼拝品は、古来より魔除けとされた「鎮める・治める・調和」という祈願の意味を内包しています。オーナメントとして飾るタッセルは、こういった礼拝品として象徴性を意味するタッセルが基礎となっています。オーナメントも装飾を意味する言葉ですが、単なる飾り付けだけに用いるタッセルではなく、礼拝・祭壇・祈祷用品の意味があるものや、演出や美観を効果的に高めるためのデザイン性を必要とするクリスマスツリーを飾るような嗜好性を表現するためのアクセント装飾としてのモチーフになっていることが特徴です。つまりタッセルで象徴性を添えようとする習慣性が色濃く表れた美意識を持つタッセルを指すのです。
 オーナメントの装飾性は、タッセルの形、大きさ、色、素材、組み合わせにおいて、伝統、時節、慣習的な装飾モチーフを用いてデザインされるのが特徴です。素材には、布片のほかに石や木、プラスチックやメタル素材を用いてレリーフや彫刻等を取り入れるなど、必ずしもタッセルは生糸や紐で組んで束ねたものだけではないのも特徴です。例をあげると、クリスマツリーやイースターを飾りつけるためにシンプルで効果的な装飾性を持った"EGG TASSEL"がありますが、文字どおりタッセルの形が卵形をしたもので、通常タッセルにみるラフやスカートがなくウッド・フォームに糸を巻いただけの珠飾りのタッセルです。また、フィンランドの伝統的なオーナメント「ヒンメリ」にもタッセルで飾り付けしたりします。オーナメントは、飾り付けにおいて対象と深いモチーフや色彩が習慣的に用いられるほか季節感とともに演出されることも見逃してはならないことです。

【 Ornament 】タッセル
クリスマスツリー ヒンメリ イースター飾り ガーデン バースデー
ブライダル 魔除け お守り ラッピング ギフト



 このようにタッセルには、装飾性の範囲においていろいろな用い方が表れてくるのですが、タッセルの現代的な装飾性の設計を新しくするためにも、ぜひとも踏まえておきたい事柄であると思います。


 


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